公的年金だけでは、将来の備えとして十分とはいえず、個人年金保険を検討されている方は多いのではないでしょうか。
個人年金保険は、ただ『老後資金を確実に貯める』だけではなく、節税効果があることも大きなメリットです。
でも実際どれくらい節税効果があるのかよく分からないと始められないですよね。
本記事では、個人年金保険の節税効果を具体的に解説します。
個人年金保険とは
個人年金保険とは、あらかじめ定めた年齢(60歳など)まで保険料を払い込み、将来一定期間年金を受け取る保険商品です。
国民年金や厚生年金は今後、支給額の減少・受給開始年齢引き上げの可能性があるため、個人で老後資金を用意しなくてはいけない時代になることは明白です。
そのための一つの手段が個人年金保険であり、うまく使うことで老後資金を有効的に貯めることができます。
特に個人年金は節税ができるので、通常の貯蓄よりも有利です。
個人年金保険の種類
個人年金保険には以下の種類があります。
• 終身年金
生存している限り、一生涯年金を受け取ることができる
• 有期年金
生存している限り、一定期間年金を受け取ることができる
• 確定年金
生死に関係なく、一定期間年金を受け取ることができる
この他に、運用実績によって受け取る年金額が変動する変額個人年金保険があります。
変額個人年金保険は、うまく運用できると将来受け取る年金額を大きく増やせる一方で、運用がうまくいかないと元本割れしてしまうリスクがあります。
さらに死亡給付金には、一般的に最低保証がありますが、解約返戻金には最低保証がないのも注意点です。
個人年金保険のメリット
個人年金保険のメリットは、なんといっても節税できることです。
具体的には、個人年金保険料控除を受けることができ、所得税・住民税が軽減されます。
具体的な控除額は2011年12月31日までに契約した旧制度と2012年1月1日以降に契約した新制度によって変わってきます。
旧制度
所得税 | 住民税 | ||
年間支払い保険料 | 控除額 | 年間支払い保険料 | 控除額 |
25,000円以下 | 払込保険料全額 | 15,000円以下 | 払込保険料全額 |
25,000円超〜50,000円以下 | (払込保険料×1/2)+12,500円 | 15,000円超〜40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+75,00円 |
50,000円超〜100,000円以下 | (払込保険料×1/4)+25,000円 | 40,000円超〜70,000円以下 | (払込保険料×1/4)+17,500円 |
100,000円超 | 一律50,000円 | 70,000円超 | 一律35,000円 |
新制度
所得税 | 住民税 | ||
年間支払い保険料 | 控除額 | 年間支払い保険料 | 控除額 |
20,000円以下 | 払込保険料全額 | 12,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超〜40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+10,000円 | 12,000円超〜32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
40,000円超〜80,000円以下 | (払込保険料×1/4)+20,000円 | 32,000円超〜56,000円以下 | (払込保険料×1/4)+14,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 | 56,000円超 | 一律28,000円 |
これから個人年金保険に加入する方は、新制度が適応されます。
そのため、年間80,000円以上の保険料を支払えば、所得税、住民税の控除額を最大限得ることができます。
年収500万円の方が、年間80,000円の保険料を支払った場合のシミュレーションをしてみます。
所得税(20%):40,000円×20%=8,000円
住民税(10%): 28,000円×10%=2,800円
合計10,800円
30年間払込を行なった場合、32万4,000円の節税ができますので、結構大きいですね。
所得税率が高いほど節税効果が大きく、所得税率33%の方なら年間の節税額は16,000円になるので、30年なら48万円の節税ができます。
ただし、控除を受けるためにはいくつかの条件がありますので、注意してください。
個人年金保険料控除が受けられる保険契約の要件
• 年金の受取人が契約者または配偶者のどちらかである
• 年金受取人が被保険者である
• 保険料の払込期間が10年以上である
• 年金受給開始日の被保険者の年齢が60歳以上で、年金受取期間が10年以上である
節税以外にも、『貯蓄の苦手な人でも確実に老後資金を貯められる』というメリットがあります。
強制的にお金が毎月引き落とされていくので、いやでもお金が貯まっていきますね。
個人年金保険のデメリット
個人年金保険のデメリットには主に以下のものがあります。
• 途中解約すると元本割れする
• インフレに弱い
• 途中解約すると元本割れする
途中で解約することは可能ですが、解約返戻金は支払った保険料よりも少なくなる場合があります。
特に契約早期の段階では、解約返戻金は低く設定されていることが多く、大きな損失を出してしまう可能性があります。
あくまでも余剰資金内で行うことが大事です。
• インフレに弱い
将来インフレとなった場合、物の値段が上がっても定額年金保険は固定金利なので、受け取る年金は変わりません。
長期間積み立てるうちに、思いのほか物価が上昇してしまうこともあり得ます。こういった時には、積み立てたお金が目減りすることになります。
おすすめの個人年金保険
個人年金保険には、たくさんの種類があって何を選べば良いか迷ってしまいます。
『何を選べばいいかわからない』という方のために、貯蓄性の高い、おすすめの個人年金保険を紹介します。
JA共済『ライフロード』
変動型の利率にもかかわらず、当初5年間の予定利率0.5%、6年目以降の予定利率0.75%を最低保証してくれるお得な保険です。
25歳で掛金を月1万円にした場合(累計420万円)、6年目以降の利率が1.44%で運用できると受取金額が約525万円となり、100万円以上も増える(返戻率 約125%)ことになります。
もし運用がうまくいかず、最低保証利率で運用したとしても受取金額は約456万円で36万円増える(返戻率 108.6%)ので十分お得といえます。
最低利率を保証してくれるのでリスクを取らずに、変動型の元本を大きく増やせるメリットも享受できるので、とてもお得な商品といえます。
マニュライフ生命『こだわり個人年金』
外貨建ての個人年金保険で、大きな運用効果が期待できるのが最大の特徴です。
『外貨建ての保険』というと少し危ない印象をもたれるかもしれませんが、最低保証積み立て利率が1.5%に設定されているので大きな損失は出にくくなっています。
さらに、『ドルコスト平均法』という一定額の円で外貨を継続購入する方法で積み立てていくので為替変動の影響を小さくすることができます。
リスクをなるべく小さくして、大きな運用益を狙える魅力的な商品といえますね。
もう一つ大きな特徴として、払い込み金額を時期によって調整できることがあります。
『子供にお金のかかる時は一旦払い込みをストップし、生活にゆとりが出てきたら払い込みを再開する』といったことが可能です。
後から、保険の払い込みが苦しくなっても解約する必要がないので、安心して始められますね。
日本生命『みらいのカタチ 年金保険』
年金の種類が5年、10年、15年の確定年金、終身年金から選択できること、所定の3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)になった時に保険料の払い込みが免除されることが特徴です。
返戻率は平均的ですが、運用がうまくいくと配当金が期待できます。
さらにクレジットカードで保険料を支払うことができるのも地味なメリットです。
還元率の高いクレジットカードで支払えば、ポイントをたくさん貯めることもできますね。
大手の保険会社でしっかりした保証がついているので、安心して確実に積み立てていきたい方におすすめです。
明治安田生命『年金かけはし』
資産の運用成果を5年毎に通算して剰余金が生じた場合は、契約後6年目から5年毎に配当金が支払われます。
据え置き期間を1〜5年から選択でき、長くするほど返戻率がアップします。さらに保険料の払い込み期間を20〜40年で設定できるので、いろいろなプランから選択することが可能です。
まとめ
個人年金保険は、『節税ができる』、『確実に老後資金を貯められる』というメリットがある一方で、『途中解約すると元本割れする』といったデメリットもあります。
そのため、余裕資金でできる範囲で積み立てていくことをおすすめします。
イメージが湧かないという方は、マニュライフ生命のような払い込み金額を後から変更することができる保険を利用するのもいいでしょう。